中国で、AIの民事主体性をめぐる全国初の判決が出ました。
事案は印象的です。ユーザーがAIに質問したところ、AIが誤った回答をし、追及された際に「10万元を賠償します」と返答。ユーザーはスクリーンショットを証拠に提訴しました。
裁判所の判断は明確でした——人工知能には民事主体性がない。意思表示の能力もなければ、財産もない。AIの「賠償約束」は法的に効力を持たない。
ただし、これはAIの誤りに誰も責任を負わないという意味ではありません。裁判所が否定したのはAI自身の主体性であり、サービス提供者の責任ではない。中国民法典および生成AIサービス管理暫定弁法のもとで、AIの誤情報により損害が生じた場合、運営会社は契約責任や不法行為責任を負う可能性が残ります。
中国に進出する日系企業、あるいは中国から日本市場へ展開する企業にとって、実務上の含意は明確です。御社のAIカスタマーサービスが価格を提示し、割引を約束し、譲歩を行った場合——これらの出力は契約成立の一般原則のもと、会社の意思表示として認定される可能性が高い。AIに主体性がないという結論は、運営会社を免責するものではなく、むしろ責任の所在を運営会社に明確に戻すものです。
広州・大湾区のクロスボーダー案件で日系クライアントに私が必ず申し上げているのは、「約束に類する出力」には必ず人による確認工程を設けること。この一手間が、後の紛争コストとは比較にならないほど安価です。
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呉展鵾弁護士 · 渉外弁護士
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