「アバへの手紙」から見る中国人海外投資:百年前は手紙、今は法的構造

呉展鵾と申します。広東省で渉外・国際法務を扱う弁護士で、出身は中国南部の潮汕(Teochew)地方です。潮汕は19世紀から東南アジアへの大規模な移民を送り出してきた、いわゆる華僑の故郷の一つです。

今月、潮汕語による映画『阿嬤への手紙』が中国で公開され、Douban評価9.0を記録しました。徴兵を逃れて東南アジアへ渡った祖父が1960年に客死し、家族はそれを知らぬまま数十年が経過、孫がタイへ墓参に行くと、見知らぬ女性が墓を守っていた——という物語です。90%以上が実在の華僑エピソードに基づいています。

1864年から1911年の間に、約294万人の潮汕人が東南アジアへ渡りました。家族との唯一の絆は「侨批(チャオピー)」と呼ばれる、手紙と送金を一体化した独自の越境通信網でした。2013年、ユネスコの「世界の記憶」に登録されています。

弁護士として、私はこの映画に同じ構図の現代版を見ました。

現代の中国系企業・華僑家庭が海外進出で繰り返す3つの失敗:

1. 海外資産が分散し、目録すらない。 マレーシアの不動産、メキシコの株式、バンコクの口座、暗号資産。創業者に万一のことがあれば、「何が、どこにあるか」を調べるだけで数年から数世代を要します。

2. 「同郷だから大丈夫」で契約書を作らない。 名義株主の合意書なし、利益分配は口約束、印鑑は「身内」任せ。利害が対立した瞬間、事実関係すら裁判所で再現できません。

3. 居住地・税務・国際結婚・相続の設計がゼロ。 持株会社の構造、税務上の居住地、配偶者財産契約、各管轄で有効な遺言、信託や生命保険による承継隔離——いずれも事前設計が必要です。

百年前は一通の手紙が太平洋を越えて家族を繋いでいました。今日、その役割を担うのは、適切に起草された二か国語契約書、明確な持株構造、そして複数法域に対応した相続プランです。

情は人に属し、財産と承継は制度に属する。

中国・東南アジア・ラテンアメリカ・日本を跨ぐ資産や事業をお持ちの方、初動の構造設計が将来の数世代を救います。お気軽にご相談ください。

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呉展鵾弁護士 · 広東競琅法律事務所 · 登録番号 144012510953782
渉外法務 · 4ヶ国語対応(中・英・西・日)
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