中国で若い母親が遺言を残さずに亡くなった場合、相続をめぐる家族の争いには、意外な登場人物がいます。生まれたばかりの赤ちゃんです。
中国民法典の規定によれば、第一順位の法定相続人は配偶者・子・親の三者で、同じ順位として原則均等に分配されます。夫、子、妻の父母の双方が存命なら、通常は第一順位の相続人が4人となり、法定の調整事由や別段の合意がなければ、原則として各4分の1です。
ここまでは整理がつきます。問題は、赤ちゃんの取り分にあります。
生まれたばかりの子どもは自分で財産を管理できません。中国法では、未成年者の財産は法定後見人が管理し、通常は父親がその役割を担います。母の死亡後、父は通常、監護者として子の独立した相続分を子の利益のために管理します。4人の例では、父が所有するのは自分の4分の1であり、子の4分の1は管理するだけで所有するものではありません。妻の両親(子から見た祖父母)は自分たちの取り分にしかアクセスできません。
法律的には何も問題ありません。しかし妻の両親からすれば、娘を失い、孫も夫のもとで育ち、財産の管理も夫に委ねられる——その現実は到底受け入れがたいものです。
協議がまとまらなければ、訴訟になります。相続分に基づく財産分割そのものは比較的争いになりにくいですが、不動産の評価方法や慰謝料請求が焦点になることが多いです。慰謝料については注意が必要で、亡くなった原因に第三者の不法行為(たとえば医療過誤)が絡む場合は請求できますが、純粋に家族間の遺産分割争いのなかで「精神的苦痛を与えた」として相手方に慰謝料を求めることは、一般的に認められません。
有効な遺言があれば、状況は大きく変わります。中国法では遺言相続が法定相続に優先します。生前に遺言を作成し、自分の遺産の範囲内で両親や子への配分を定め、遺言執行者を指定できます。ただし、子の監護に関する希望が法定の監護制度を当然に変更するわけではありません。
日本でも相続の準備は後回しにされがちですが、中国に財産や家族がいる方にとっては、より複雑な問題になりえます。中国の家事・相続法に関するご相談は、お気軽にどうぞ。
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呉展鵾弁護士 · 渉外弁護士
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