「彼が稼いだお金だから、親孝行に使っても私は口を出せない」——この思い込みが、後で大きな損につながります。

ある妻が、夫が5年間かけて義理の両親に多額の送金をしていたことに気づきました。最初の問いは夫婦仲のことではなく、「取り戻せるのか」でした。

中国法上、回収できる可能性はありますが、全額返還を一律に約束することはできません。送金の目的、金額、証拠、夫婦双方の意思、両親側の受領根拠を確認する必要があります。婚姻期間中に得た財産は夫婦の共同所有であり、半分ずつ別々に管理するものではありません。金額を勝手に半分に切り分けて「この半分は自分のものだから自由に贈与する」とはできず、全体を処分するには二人の合意が必要です。

日々の生活費なら一方の判断で足ります。しかし多額の資金を、しかも秘密裏に親へ贈与するのは「日常の必要」をはるかに超えます。一方が他方の同意も追認もなく行った場合、同意していない側に対して効力は生じません。

返還の可否と範囲は、贈与、扶養、債務返済など送金の性質と証拠によって変わります。各当事者が自らの主張を裏付け、裁判所が全事情を判断します。

まずは、送金の記録を完全に保存しておくこと。中国と日本にまたがる資産や身分が絡む場合は、早めのご相談を。

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呉展鵾弁護士 · 渉外弁護士
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