先日、SaaS企業の創業者から相談を受けました。彼の動的価格設定ツールを、同業の数十社が使っている。顧客同士は面識もなく、連絡も取り合わない。それでも、各社の販売価格が徐々に揃ってきた——「これは価格カルテルに当たりますか?」というご質問でした。
私の答えは「該当する可能性があります」。
いま世界中の競争当局が頭を悩ませているのが、この「アルゴリズム共謀」です。従来のカルテルは、競合他社間の合意——会議、メール、チャット——を必要としました。ところがアルゴリズムを介した価格協調は、その痕跡そのものを消してしまいます。
典型パターンは三つ。
第一に「ハブ・アンド・スポーク型」。競合各社が同じ第三者SaaSに価格決定を委ねると、当事者同士は直接会話しなくても、真ん中のアルゴリズムが自動的に価格を協調させます。
第二に「予測エージェント型」。各社が独自にアルゴリズムを開発しても、互いの公表価格を学習し合ううちに、静かに同調してしまう。
第三に「自律学習型」。深層学習モデルが人の指示なく協調的均衡を発見する——これは学界の議論が中心ですが、遠くない将来、実務に上がってくる論点です。
中国では2022年に反独占法(独占禁止法)が改正され、「データ・アルゴリズム・技術等を利用した独占行為」が明文で禁じられました。執行の重心も「合意の探索」から「市場結果の読み取り」へと移っています。日本の独占禁止法・公取委も、デジタルカルテルへの関心を強めています。具体的な適用は、現地の弁護士および最新の法令に必ずご確認ください。
AI駆動の価格設定を国境をまたいで展開されている企業の方、一度ご相談ください。
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呉展鵾弁護士 · 渉外弁護士
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